6月議会 一般質問

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2022年6月7日(火) 6月議会で一般質問を行いました。質問と答弁をご紹介します。

日立市若者資格取得補助金について

 総務省の「労働力調査」によると、36.7%が非正規労働となっており、「キャリア形成期」である25歳から34歳でも22.5%が非正規となっています。背景には労働法制の規制緩和があります。非正規で働いていても人間らしく働くことのできる労働条件を実現するのが政治の責任です。最低賃金を引き上げ賃金の底上げを行う事や、正社員が当たり前の働き方にすることが求められています。
 本市では「若者にチャンスを」という目標が、小川市長はじめ全庁の目標として位置付けられているとみられます。昨年3月に策定した「ひたち若者かがやきプラン」では「様々なチャレンジに向かって踏み出すための一歩を行政等が支援する体制づくりが必要だ」とプランの基本理念で示されています。
 昨年から始まった「日立市若者資格取得補助金」の案内を掲載した市ホームページを見ますと、「若者の更なる能力向上や就業機会の拡大を応援するため、各種資格の取得に係る経費の一部を補助します」とあります。
 仕事で必要な技能や能力を身に着けるには、そのための養成や教育が必要で、費用がかかります。この「修業費用」、「トレーニング費用」は自分で出すか、または会社で出すことになりますが、例えば技術士を取得すると手当を出す、IT関連では国家資格やベンダー・民間の資格取得で手当てを出すといった企業が多いです。
 資格取得手当を会社が出す中で、本市からも補助を行うということは、間接的な労働所得の引き上げにもなると考えます。この補助金制度のさらなる充実を図る目的で、以下質問をします。

(1) 補助金の目的
 「日立市若者資格取得補助金」制度を創設した目的などの背景を伺います。

(2) 補助金支給の実績
 まだ始まって1年程度と短いため、今後の申請数の伸びを目指していくものとは思いますが、現状の実績を伺います。

(3) 今後の方向性
 本制度を今後、どのように発展させていくのか、その方向性を伺います。

 御答弁をよろしくお願いします。

[生活環境部長]
 千葉議員の御質問にお答えします。
 私からは、大きな1項目、日立市若者資格取得補助金についての御質問にお答えいたします。(1)補助金の目的、(2)補助金支給の実績、及び(3)今後の方向性につきましては、関連いたしますので一括してお答えいたします。
 本市は、第2期日立市まち・ひと・しごと創生総合戦略における若者応援という重要なテーマを具現化するため、「ひたち若者かがやきプラン」を令和3年3月に策定いたしました。
「ひたち若者かがやきプラン」では、18歳から39歳までの若者世代が、自分らしい生き方を見つけ、夢や目標を実現し、幸せを感じられる暮らしができることを願い、本市での暮らしが、育ちの場、学びの場、成長の場、安住、活躍の場となるよう、若者のチャレンジを応援することといたしております。
 日立市若者資格取得補助金は、ひたち若者かがやきプランに基づく取組の一つであり、若者世代が資格を取得したことにより、就職や就業先でのキャリアアップにつながることはもとより、チャレンジしたことで自信を持ち、潤いのある豊かな暮らしと充実感が得られることを願い、資格取得に要した経費の一部を補助するものとして令和3年7月から実施しているものでございます。
補助の実績でございますが、補助事業開始から令和4年5月までの約10か月で16件の支給をいたしております。
 取得した主な資格は、建築士、宅地建物取引士、登録販売者、簿記検定、土地家屋調査士、保育士、介護職員初任者研修、ファイナンシャルプランニング技能士、社会保険労務士など多岐に渡っております。
 今後の利用拡大に向けて行った、申請者に対するアンケートにおいては、「職場での待遇が良くなった」、「資格をいかし起業や転職を考えるようになった」など、前向きな気持ちの変化を確認できたところでございます。
 また、申請を検討している若者世代から、対象資格や必要書類などに関し、これまでに52件の問い合わせがあるなど、若者世代の関心と認知度が徐々に高まっておりますことから、今後、申請件数が伸びていくものと見ているところでございます。
 今後も、若者世代のニーズを捉えながら、幅広くPRを行い、更なる認知度の向上に努め、引き続き、若者世代のチャレンジを全力で応援してまいります。

 “資格取得にチャレンジしたことで自信が持てることを願い補助”する旨のご答弁がありました。「資格を取得して意味があるのか」と私自身、資格を取得した時に一部の同僚から言われたことがありますが、取得する意味はあると考えます。確かに、資格試験で出た問題や技能がそっくりそのまま、業務における問題として現れることは稀です。しかし、「資格取得で得た技能」は基礎知識・基礎技能となり、新たな業務やプロジェクトに従事する際のハードルを下げることが出来ます。資格取得で得た技能は、業務で応用が利く、という意義が私にはありました。
 今後、申請件数を伸ばしていくためにも、経験談や成果などもホームページ上に載せるなどPRして、「日立市で資格取得し技能・技術を身に着けよう」という気風を作っていくようお願いします。
 企業に限らず、組織の社会的責任を明記しているISO26000では「人材育成及び訓練」を課題の一つに挙げています。本市が率先して学び成長する場を作る事を重ねてお願いして次の質問に移ります。

LGBTQの方が相談できる窓口設置について

 令和4年度市政方針並びに予算案大綱の中に「性的マイノリティの方が相談できる窓口開設など推進します」と盛り込まれ、大切な一歩を踏み出したと考えます。
 今年の3月、東京都は「性自認及び性的指向に関する調査結果」を発表しました。回答者は約6万6千人で行政への要望で最も高いのが「相談窓口の設置」とのことです。不当な差別を禁止する条例などの整備も70%が求める結果となりました。
 第4次ひたち男女共同参画計画が策定され、計画には「性的マイノリティ等の人権に配慮したダイバーシティ社会の実現」が取り組みの柱のうちの1つに掲げられました。「ダイバーシティ」すなわち「多様性」ある様々な人たちで社会や市が構成されています。
 性的マイノリティの方は全人口の10%と言われています。多くの市民の声や心配ごとなど、誰からでも話を聞くという姿勢を、本市が示していくことが大切です。多様性ある方々が、ともに本市で生活していく市民だと本市側から発信していくことにもなると考えます。そこで、以下質問をします。

(1) 相談窓口設置の目的
 窓口を設置する目的などの背景を伺います。

(2) 相談を受ける対象と相談内容
 窓口には「相談を受け付ける対象」という項目があるのでしょうか?または誰からでも相談を受け付けるものなのでしょうか?主にはどのような内容の相談ができるのでしょうか?

(3) 広報など今後の方向性
 窓口設置を知らせ、活用を進めることが大切と考えます。広報や今後の施策の方向性を伺います。

 御答弁をよろしくお願いします。

[生活環境部長]
 次に、質問の大きな2項目、「LGBTQの方が相談できる窓口設置について」の御質問に、順次お答えいたします。
 初めに、(1)相談窓口設置の目的について、でございます。
 本市が令和2年度に行った「日立市に住む男女の生活と意識の調査」によりますと、50歳未満の「LGBT」に対する認知度は特に高く、民間調査機関の調べを見ましても、近年、言葉の認知度は大幅に上昇しており、性的マイノリティに対する理解を深めようという社会的な風潮がみられているところでございます。
 そうした中、本市の女性生活相談におきましても、近年、性的マイノリティに関する相談があることなどから、悩みや困りごとを受け止める体制の必要性が高まっているものと捉えております。
 本市の意識調査ではさらに、「らぽーるひたち」に期待する役割として、男性相談の窓口開設や、同じ悩みを抱えている人たちへのネットワーク支援など、これまでの女性生活相談には届かなかった部分へのニーズが見て取れたところでございます。
 これらの状況に対応するため、本年3月に策定した「ひたち・らぽーるプラン」すなわち、第4次ひたち男女共同参画計画におきましては、主要な取り組みの1つとして、性的マイノリティへの理解促進を定めたところであり、本市が目指す「誰もが自分らしく活躍することができるダイバーシティ社会の実現」の一環として、今年度から、性的マイノリティ電話相談を実施するものでございます。
 次に、(2)相談を受ける対象と相談内容について、でございます。
 電話相談は、性的マイノリティの方や、性的マイノリティに関わる全ての悩みを持つ方を対象に、その悩みに寄り添い、困難を解消するための環境を整えるものでございます。本人はもとより、性的マイノリティに対する理解を深めようとする人が持つ多様な悩みに対し、臨床心理士など専門の資格を持つ相談員を配置し、必要に応じて、弁護士や労働相談などの専門機関と連携しながら、柔軟かつ迅速に対応してまいりたいと考えております。
 次に、(3)広報など今後の方向性について、でございます。
 事業の実施に当たりましては、市報やホームページ、SNSの活用をはじめ、市内の高校にPRカードやチラシを配布するなど、幅広い世代への積極的な広報を行ってまいりますほか、理解を深めるための講演会や、性的マイノリティの方と市との意見交換などを行いながら、支援体制の充実を図ることにより、お互いを認め合い、信頼関係を築くダイバーシティ社会の実現につなげてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

 意識調査で「同じ悩みを抱えている人たちへのネットワーク支援など、これまでの女性生活相談には届かなかった部分へのニーズが見て取れた」とご答弁がありました。同じ悩みを持っている人がいるのだと知る機会が得られることが大切だと考えます。
 「多様な性を考える会 にじいろ神栖」は「性の多様性」や「性的マイノリティ」に関する講演活動を、6月4日に那珂市で、この間、日立市でも講演活動をされています。代表の河野陽介さんは「当事者から相談を受け、行政で答えられない課題や問題などあったら、ぜひ私たちに繋いでほしい」と話しておりました。
 「にじいろ神栖」は「どのような場所にも必ず存在するセクシュアルマイノリティ当事者と、その理解者のために」と活動しています。そのような団体と連携することを検討するよう要望して次の質問に移ります。

公共交通における乗合タクシーの活用について

 2019年10月から2020年3月にかけて諏訪学区で行われた乗合タクシーの試験運行について、2020年3月に質問をした際に執行部からは「他の地域への導入についても、今回の諏訪学区における試験運行と同様に、既存交通事業者との合意形成を始め、地域ごとに異なる居住者の移動需要の把握や運行に係る地域の支援、負担の在り方など、様々な調整を踏まえながら検討してまいりたいと」ご答弁を頂きました。その後、期間を区切りながらいくつかの地域で乗合タクシーの運行が行われました。
 交通・移動の権利は、日本国憲法が保障した居住・移転の自由や、生存権、幸福追求権と関連する人権ですので、引き続きの取り組み実施をと要望させて頂きました。
 今回、「坂下地区でも行われているがどのような運行になるのか」などの質問を市民から受けました。そこで乗合タクシーについて以下、3点質問をします。

(1) 乗合タクシーの活用状況及び実証実験の結果
 本市において行われた、乗合タクシーの実証実験の結果について伺います。

(2) 坂下地区「みなみ号」の運行体系の変更
 本市の坂下地区乗合タクシー「みなみ号」は、所定のルートや停留所がある定時運行であったものから経路を変更できるものに変わりました。運行体系を変更する背景や、料金体系などを伺います。

(3) 今後の公共交通施策への活用方向性
 今後も施策を広げることとなると考えますが、その活用の方向性を伺います。

 御答弁をよろしくお願いします。

[都市建設部長]
 私からは、質問の大きな3項目、「公共交通における乗合タクシーの活用について」の御質問について、順次お答えいたします。
 はじめに、(1)「乗合タクシーの活用状況及び実証実験の結果」についてでございます。
本市におきましては、少子・高齢化などの社会情勢の変化により、路線バスが運行する地域であっても、路線バス運行だけでは対応が難しい、住民の個別・多様化した移動希望に応えるため、地域住民や交通事業者と協働し、乗合タクシーの実証実験を行っております。
これまで、諏訪学区におきましては、地域コミュニティと協力し、令和元年10月1日からの半年間、主に学区内を運行範囲として、予約型乗合タクシーの実証実験を行い、期間中、約1,000人の利用者がありました。
 また、大沼地区及び宮田・助川・成沢地区におきましては、令和3年6月11日からの約1か月半、交通事業者と連携し、スマートフォンで予約を受け、AIで運行ルートを決定する予約型乗合タクシーの実証実験を行い、期間中、約250人の利用者がありました。
 なお、路線バスの運行区域が限られる、坂下地区や中里地区におきましては、10年以上前から、地域住民が主体となった本市初の乗合タクシー事業を継続しており、これまでの運行実績の中で、地域住民の移動手段として定着しているところでございます。
 次に、(2)「坂下地区「みなみ号」の運行体系の変更」についてでございます。
 坂下地区におきましては、平成19年5月から、地域住民の移動手段を確保するため、住民組織が運営する乗合タクシー「みなみ号」を運行し、市は、その財政支援を行っております。
この間、坂下地区では、居住世帯数や乗合タクシー利用者の減少傾向が続き、加えて、長引くコロナ禍の影響も相まって、乗合タクシーの運営収入である世帯協賛金や利用料金が大きく減少するなど、非常に厳しい運営状況が続いております。
 また、地区内全域をこまめに運行するこれまでの運行体系は、利用者の有無にかかわらず、全ての停留所を経由していくため、利用者からは、目的地到着までに時間を要し、利用しにくいとの意見が多く寄せられておりました。
 そのため、令和4年4月1日からは、利用を予約制とし、予約に応じて経路を自由に変更できる運行体系とすることで、利便性向上を図り、利用者数の増加を目指すことといたしました。
一方、この変更に伴い、利用予約後に運行ルートを決定するオペレーション業務が追加されたため、区域内の利用料金を200円から400円にすることで、乗合タクシー事業運営の安定化を図っているところであります。
 次に、(3)「公共交通施策への活用に向けた今後の方向性」についてでございます。
 本市におきましては、社会構造の変化が進む中で、主要な公共交通である路線バスの維持、確保に加え、住民の個別・多様化する移動希望に対応できる、新たな公共交通ネットワークの形成が求められていると認識しております。
 そのため、地域ごとに異なる住民の移動実態を踏まえつつ、 一度に多くの人が運べる、ひたちBRTや路線バスと、多様化する個々の移動に対応できる乗合タクシーなどの移動手段について、運行区域や時間帯に応じた役割分担を図るとともに、最適に組み合わせることにより、一層、利用しやすい公共交通ネットワークづくりを目指してまいりたいと考えております。
 私からは、以上でございます。

 「運転免許を返納してどう暮らしたらよいのか」という不安に応える事業ですので、引き続き、財源の補助を含めた努力をお願いします。
 本市で行っている「高齢者おでかけ支援事業(路線バス運賃カード割引販売とタクシー乗車費の助成)」が好評で「定員に達してしまい助成を受けられなかった」、「もう少し対象を広げてほしい」、といった要望を聞きます。バスやタクシーの運賃が、文字通り移動の「足かせ」になっています。
 今後行う「乗合タクシー」の利用状況の調査と利用拡大のための施策が検討されていくものと思われます。その結果、「利用料金」がネックになっているようならば、現在でも世帯協賛金を支払っている場合は利用料金を割引くなどしていますが、さらに抜本的な利用料金にしてみて「まずは乗ってもらうための施策を講じる」ことも検討するよう要望します引き続き、交通・移動の権利が保障される環境整備を求めて、私の一般質問を終わりにします。御答弁、ありがとうございました。