12月議会 一般質問

政策宣伝

 12月議会一般質問で「県産業廃棄物最終処分場の整備について」を質問しました。

質問文と答弁を掲載します。

県産業廃棄物最終処分場の整備について

 第1回基本計画策定委員会が9月12日に、第2回が10月30日に開かれました。また、日立市民を対象とした中間報告会が日立市民会館で12月4日に開かれました。

 第1回基本計画策定委員会の議事録を見てみますと、いくつか問題ではないかと思う点があります。廃棄物の埋め立て方について県は、「1:2.0の法面勾配で埋め立てる」と述べています。角度にすると26.6°の勾配の山が出来ることになります。廃棄物を埋め立て切った状態はフラットではなく勾配があるという話です。

 受入れ対象廃棄物の審議では、県は「市町村等が行う一般廃棄物の焼却に伴って発生する焼却灰や災害廃棄物についても受入可能な処分場としての整備を想定している」と述べていますが、委員からは「一般廃棄物の受入れという形での説明を示されていなかった」などの発言があり、私も同様に考えます。

 第2回の審議では豪雨対策について審議され「1日212mmの雨が、近年の豪雨の状況を考えますと、例えば2日、3日降り続くといった状況も想定されるのではないかと懸念をしている」という意見に対し、県は「1日で200㎜あるいは400㎜降った場合も想定してシミュレーションをしている」と話しています。しかし、住民の方には「熱海で26名の命が失われ、他人事とは言えない」といった不安があるなか、市民の安心が得られるのでしょうか。

 そして、新設道路について、道路建設費は処分場本体の整備費用と同じ規模になると思われますが、基本計画策定委員会では本体の事だけを審議しており、どこで新設道路について審議するのか疑問です。

 現在、基本計画策定委員会は継続審議中で来年1月の第4回まで審議され、本市は委員として参加しています。そこで本市の基本的なスタンスなどを伺います。

  • 基本計画策定委員会について

 第1回と第2回が既に開催され、今後第4回まで基本計画策定委員会が続きますが、本市はどのようなスタンスで会議に臨んでいるかを伺います。

  • 確認書について

 8月5日、小川市長から茨城県知事へ回答した「新たな産業廃棄物最終処分場の施設整備の受入れについて(回答)」には県に遵守して頂きたい項目が記されており、項目の内容は基本計画策定委員会で審議している内容に関わっています。そして項目の中には「本回答の内容等を文書として取りまとめ、茨城県知事と日立市長との間で確認書を交わすこと」とあります。

 そこで、どのような形で取り交わしへと進むのか、現在の準備状況を伺います。

(生活環境部長)

 私からは、質問の大きな2項目、県産業廃棄物最終処分場の整備についての御質問に、順次お答えいたします。はじめに、(1)基本計画策定委員会について、でございます。基本計画策定委員会につきましては、茨城県が新産業廃棄物最終処分場の整備に当たり、自然環境との調和を図るとともに、生活環境の保全等に配慮した受入廃棄物の種類及び基準や施設の規模・構造などを定める基本計画の策定に関して必要な審議を行うため設置したものでございます。委員会は、資源循環・廃棄物、土木・地盤工学、廃棄物工学、水環境学、環境教育などの有識者のほか、関連業界、地元経済団体、市民団体、行政など14名の委員で構成され、今年度中に4回の委員会が予定されており、審議結果を踏まえて、県が基本計画を策定することとなっております。本市といたしましては、住民説明会や市議会を通じた市民等の皆様の御意見を踏まえ、安全な施設整備を最優先事項とし、市民生活の安全安心の確保や周辺環境に影響が生じないことなどが基本計画に盛り込まれるよう、しっかりと確認してまいりたいと考えているところでございます。

 次に、(2)確認書について、でございます。県からの新処分場整備の受入れ要請につきましては、8月5日に本市から受諾する旨を回答したところでございます。受諾の前提として、地域住民の安全確保、生活環境の保全や近年の自然災害を踏まえた万全の環境保全対策、搬入ルートの遵守を含めた交通安全対策、地域振興のための環境整備を確実に実施することや、回答内容について確認書を交わすことなどを条件としております。現在の準備状況でございますが、県との連絡調整を図りながら、取り交わしに向けた準備を進めている状況であり、調整が整い次第、確認書を取り交わしてまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。

 「市民の生活の安全安心の確保や周辺環境に影響が生じないことなどが基本計画に盛り込まれるよう、確認したい」というご答弁について、「安心」については「市民が安心できるのかどうか」が問題です。

 策定委員会では洪水対策について、「過去30年」や「市の豪雨の実績」といった過去だけでなく、「今後どうなっていくかという将来の傾向を見ながら豪雨を想定した方がよい」と委員が発言しています。

 すなわち、安心できるかどうかは、安全が将来にわたって確保されるかどうか、信頼できるのかという問題です。さらに、仮に事故が起きた場合、許容できる範囲なのか、ということまで考えなければなりません。

 市民は安心できるのかどうか、おととい日曜日に開催された中間報告会について、茨城新聞は「災害対応は『今後検討』」という見出しで報道しました。市民の方から、巨大地震や原発事故発生時に施設が無人になることが考えられ「事故時の対応案が出ると思ったのに出ていない」と質問し、県は「今後検討する」と回答しました。「何かあった時どうなるのか」この不安が払しょくできていません。

 しかも、中間報告会では8人ほどが司会者から刺されて質問しましたが、私が見たかぎり最後は20人以上が手を挙げても質問できずに終わりました。私も挙手をしていましたが指されずに終わりました。

 最後の方の質問に対し県は「係争中のため答えられない」と回答していました。「余計な事を言うと訴訟で不利になる可能性があるから」と弁護士から口止めされていると推測しますが、誠実な対応とは言えません。

 茨城新聞には「参加者が『時間が短い』などと県側に詰め寄る場面もあった」と載り、報告会が不十分であることが見て取れます。なぜなら、去年の住民説明会は40回程実施し、当時「基本計画で検討していきます」とした県の回答がありましたが、基本計画は中間報告会と1月頃の説明会の2回しか予定されていないからです。これでは、「地域住民に真摯に向き合い、丁寧かつ誠実に対応している」とは言えません。

 市民の声として、例えば洪水・土砂災害について、「1000年に1度の豪雨」を想定していないことを問題視する声があります。水がたまる沢に、勾配を作ってまで廃棄物を埋め立てるのか、という憤りです。

 石灰岩について、選定理由では「不透水性の強固な岩盤」としていました。しかし、現在は追加ボーリング調査中で、仮に空隙が見つかったら充填するとのことですが、空隙などにより水が透けるなら選定理由が崩れ、処分場の要件に合致しなくなります。

 新設道路について、膨大な費用をかけることは、最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならないと定める地方自治法2条に反し、「誠実執行義務」にも反していると市民が県知事を相手に住民訴訟を起こしたことが報道されました。市民の疑問は尽きていません。

 (2)確認書について、策定委員会で、受け入れ期間延長がなぜ審議されているのか疑問を持ちましたが、それは確認書を「まだ取り交わしていない」からだと分かりました。確認書には基本計画に関わる内容が含まれています。基本計画を策定した後に確認書を取り交わしたとして、市が示した事項が果たして守られるのでしょうか。

 以上より、安心できる施設ではない、リスクが許容できないという問題があります。そのことを市は見極め、確認書にある条件に合致していないならば「受諾を撤回する」と県に回答することを要望して、一般質問を終わりにします。

日立市議会映像配信-録画中継再生 (jfit.co.jp)