9月議会一般質問で「県の新産業廃棄物最終処分場整備の受入れについて」を質問しました。
質問文と答弁を掲載します。
県の新産業廃棄物最終処分場整備の受入れについて
8月5日の全員協議会で、小川市長は、県から要請を受けていた産廃最終処分場整備受け入れについて、「県の要請を受け入れることを決意した」と報告しました。
受け入れ判断の根拠の一つに、処分場整備については「市民の皆様から必ずや理解が得られるものと判断した」と報告がありました。日立駅前で市政報告をしていると、駅前を歩いてきた男性からは、受け入れたことについて「そんなの聞いてないよ!」と訴えがありました。「受け入れ決定に関して周知を図りたい」との市長のコメントも報道されています。そこで、報告内容に沿って、順次質問します。
検証内容について
全員協議会における報告では、「現施設であるエコフロンティアかさまの施設や、整備候補地とその周辺の現況なども確認しながら、つぶさに検証してまいりました」とありました。
まず、「検証」の意味として国語辞典をひいてみると、1つ目に「実際に調べて証拠立てること」と、2つ目に「仮説が正しいことを証明するために行われる計算や考察など指す」という意味であると説明されています。
1つ目の「調べること」は今回の場合、現地調査などと思われます。2つ目「仮説が正しい事の証明」は、具体的には様々な課題への対応策が十分であることを証明する事と考えます。
そこで、本市が行った検証内容について、特に「対応策が十分であることを証明できたのか否か」までわかるようご答弁を頂きたく、伺います。
(答弁 橋本生活環境部長)
千葉議員の御質問にお答えいたします。
本市が行った検証といたしましては、施設の安全性、搬入ルートなどの交通安全対策、周辺地域の環境保全、地域振興などについて、住民の皆様から寄せられた御意見や御要望などに対する県の対応策が、住民の意向を反映した内容となっていることを確認したものでございます。
また、署名運動等の反対活動を行っている方々の土砂災害などを懸念する主張につきましても、県による各種調査の結果や、施設構造等の考え方の説明のほか、今後県が策定する基本計画の中で、県の対応策が十分であることが整理できることを確認したものでございます。
加えて、新処分場の建設賛成や、産業廃棄物最終処分場が必要な施設との声もいただいたことも検証の一環と捉え、それらも含めて総合的に判断したものでございます。
「県の対応策が住民の意向を反映した内容となっていることを確認した」とご答弁がありました。意見や要望が対応策に漏れなく反映されているか、突合せをしたと推測します。
しかし検証の意味の2つ目「仮説が正しい事の証明」、具体的には様々な課題への対応策が十分であることを証明できたのか否か、という質問には明確なご答弁がありませんでした。さらに、「賛成の意見があったことも検証の一環と捉えた」とのことですが、それがどういう意味か分かりかねますが、どうやら、「様々な課題への対応策が十分であることを証明する事」ではない方法で検証をしており、検証の定義が、私が考えているものと異なる、検証の手法が異なる、という事がご答弁から分かりました。
違いがあると分かったので、次の質問に移ります。
市内事業者への訪問や声について
全員協議会において「市内の企業からも、新処分場が必要であるという声をいただいております」とありましたが、市内のどの事業者から、どのような話になったのかを伺います。
(答弁 橋本生活環境部長)
お答えいたします。
市内の複数の大規模事業者から、産業活動を進める上では、産業廃棄物最終処分場は必要不可欠な施設であるとの御意見や、市内に立地されることのメリットに関する御意見も頂いたところでございます。
御意見の一例を挙げますと、産業廃棄物最終処分場が市内に立地され、運搬時間が短縮されることによる効果や、新たな事業展開を検討する余地を生み出せるなどの御意見をいただいたところでございます。
事業者にとっては近場に最終処分場があったら利点だ、ということです。そして、自治体が処分場を作る、と言ったら、事業者はまかせざるを得ない、そしてそれは、「事業者は自分たちで廃棄物を処理しなければならない」という廃棄物対策法の理念と逆行してしまう、という事が浮き彫りになりました。
自治体の役割は何かが問われます。
次の質問に移ります。
市民の声について
市民の声の内容の詳細を伺います。
住民からの意見や要望は、電話やメール、窓口、要望書や署名の形など様々な形で数多く寄せられたことがわかりました。
全員協議会では「住民等の皆様から寄せられたご意見やご要望は全体で2千数百件に及んだ」と報告がありました。
そこで、寄せられた意見はどのような内容だったのかを伺います。
(答弁 橋本生活環境部長)
お答えいたします。
市民等の皆様から寄せられた御意見等の傾向でございますが、施設や搬入ルートの安全性に関するものが特の多かったことから、周辺環境への影響を懸念したものと受け止めたところでございます。
その一方で、新処分場ができなければ、県の産業活動に支障が生じてしまうとして、新処分場整備に賛成するとの御意見も頂いたところでございます。
アンケート調査ではないので、詳細を述べることは不可能と思いますが、特に多かったのが「施設や搬入ルートの安全性」とのことです。周辺環境への影響はないことを、根拠を含め説明することが県も市も必要です。
次の質問に移ります。
市民の理解について
「市民の皆様から必ずや理解が得られるものと判断した」と報告がありましたが、今の時点で、「市民の理解はすでに得られた」ということなのでしょうか?それとも、今後得られるものと判断したのかを伺います。
(答弁 橋本生活環境部長)
お答えいたします。
本市としましては、住民説明会などを通じて、県から示された課題への対応策に、市民の皆様から出された様々な御意見や御要望が反映されていると理解できたなどから、一定の理解が既に得られているものと判断したところでございます。
一方で、工事中の安全確保や、運営開始後の状況などに対する御不安もあると認識しております。
そのような状況のもと、県から、課題への対応策を確実に実施するとの強い意向が示されたこと、今後県が策定する基本計画の中で課題などを整理できることが確認できましたことから、現時点での御不安についても、今後理解が得られるものと捉えたところでございます。
「現時点でのご不安についても、今後、理解が得られるものと捉えた」とご答弁がありました。得られるものと捉えたならば、理解をなるべく得てから判断するというプロセスが必要だったのではないでしょうか?
基本計画を作るなかで整理できるとありましたが、ここは県のプロセスの問題でもあります。受け入れを決定して基本計画をつくり、課題が整理されたのち、理解が得られる、という順番では受け入れが先になってしまいます。
理解を得るための説明を、県だけに任せるのではなく市も必要になる、不安が解消されたのか聞くことも必要になることを述べて、最後の質問に移ります。
受入れ決定の市民への周知について
「受け入れ決定に関して周知を図りたい。よく説明すれば納得してもらえる」との会見内容が報道されました。
茨城新聞に掲載された記者による解説欄では「処分場が『歓迎されない施設』である以上、最終的な結論が受諾だったとしても、住民に最も近い市は対話を通じて、市民が抱く『将来への漠然とした不安』に寄り添う姿勢を示す必要があったのではないか。市には受け入れ判断に関する丁寧な説明を求めたい」と解説記事が掲載されました。
そこで、今後どのような形で、市民へ説明をするのかを伺います。
(答弁 橋本生活環境部長)
お答えいたします。
本市が新処分場整備の受入れを決定したことにつきましては、現在、市報や市ホームページなどを活用してお知らせする準備を進めているところでございます。
また、今後の新処分場整備に関する情報につきましても、事業主体である県や茨城県環境保全事業団と連携し、市民の皆様に御理解いただけるよう、節目ごとに丁寧な周知を図るよう努めてまいります。
処分場の受け入れについては、受け入れると判断したことや判断までのプロセスも含め説明が求められます。また、焼却処理の助長につながってしまったのではないか、豪雨など甚大な被害をもたらす地球温暖化など気候危機への対策に反する判断ではなかったか、といった問いにもこたえる責任があります。
これら課題も残っていることを述べ、質問を終わりにします。御答弁ありがとうございました。