9月8日「新産業廃棄物最終処分場候補地決定に対する本市の対応について」の一般質問を行い、小川市長から答弁がありました。質問と答弁の全文をご紹介します。
日本共産党の千葉達夫です。発言通告に従い質問します。御答弁をよろしくお願いします。
新産業廃棄物最終処分場候補地決定に対する本市の対応について
5月26日、大井川知事は、日立市諏訪町の日立セメント太平田鉱山跡地を県の新たな産業廃棄物最終処分場の最終候補地に決定したと発表しました。
県はその後、住民説明会を6月21日から順次開催し、去る8月30日には、午前と午後に行われた説明会に私も参加しました。
住民からは、様々な質問や不安の声や、中には明確に処分場建設反対を訴える方もおり、30日午後の説明会は終了予定時刻を30分延長して質疑応答が行われました。
また、「市はどのように合意形成し、意思表示を行うのか?」との質問に対し、県からは「市には建設受諾の要請を文書で渡している。市長から、何らかの形で回答してもらう」との説明がありました。
市民の暮らしや生活に直結する大きな問題となっていますので、以下、質問します。
県の建設要請に対する本市の回答時期について
茨城県から受けた処分場建設の要請に対して、小川市長はどのように判断し、いつ頃回答を行う予定なのか、お伺いします。
(小川市長の答弁)
千葉議員の御質問にお答えいたします。
諏訪町にございます太平田鉱山跡地が県の新産業廃棄物最終処分場の整備候補地に決定したことにつきましては、本年5月14日に知事から受入れを要請され、同月26日に知事から公表されたところでございます。
この間、市議会においては新産業廃棄物最終処分場整備調査特別委員会が設置され、短期間に5回にわたり御審議いただいたところでございます。
これまでも申し上げておりますように、新産業廃棄物最終処分場の整備につきましては、市議会特別委員会の審議の状況を踏まえるとともに、地元を始めとする住民等の皆様の御理解、企業への影響等を勘案し、総合的に熟慮してまいりたいと考えております。
特に、市議会の特別委員会においては、県から住民説明会における意見や対応方針などが伝えられていることから、引き続き審議の動向を注視し、県に対して、道路整備や安全確保、環境保全に関する具体的な方策などを、できる限り早く示すよう求めてまいりたいと考えております。
従いまして、県への回答につきましては、これらの状況を慎重に踏まえながらの判断になっていくものと考えております。
以上でございます。
(要望)
新産業廃棄物最終処分場をめぐる審議では、特別委員会をはじめ、審議の中で市民の声が反映されている事が、市民に見えることが大切です。
受諾する、しないといった判断の際は、市民の声を反映する事と、判断に必要な条件や基準は何か、それも合わせて明らかにすることを要望し、次の質問に移ります。
住民説明会で出された意見に対する考え方について
住民説明会で参加者から出された意見に対し、県廃棄物対策課は「頂いたご意見についてはできる限り対策を検討していく」と述べていました。市民からは「声を聞かないで進めないでほしい」という訴えがありました。
また、住民説明会では、県への意見だけでなく、市への意見や要望も含まれていました。そこでお伺いします。住民説明会で出された意見に対する、市執行部の考えをお伺いします。
(小川市長の答弁)
お答えいたします。
県主催の住民説明会は、6月21日から8月30日までの間、40回にわたって開催されたところでございます。
説明会は市の職員も傍聴し、住民の皆様からの様々な御意見を伺わせていただき、課題が多岐にわたることが明確になってきたと捉えており、生活環境への不安、とりわけ道路の安全に関する御意見が多く、市街地に近接していることなどから、より安全で、なおかつ交通渋滞に影響を及ぼさない搬入ルートの確保が求められていると認識したところでございます。
県からは、住民説明会でいただいた御意見に対する回答集の公開や、県の対応方針に関するフォローアップ説明会を今後実施していく考えが示されたことから、引き続き、その動向を注視してまいります。
市としましても、住民説明会における皆様の声をしっかりと受け止め、課題を整理しつつ、県に対して住民等の不安解消に努めるよう求めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
(要望)
「課題が多岐にわたることが明確になってきた」との答弁がありました。そして、「住民説明会における皆様の声をしっかりと受け止め」る事が求められています。
現在、市は県から説明を受けている、さらには詳細な説明を求めているかと思います。
市民の方々からは「こう考えるので、意見を聞いてほしい」と、具体的には「市民の意見を聞く会を開くことや、アンケートなど、十分に市民の意見を聞いてほしい」という訴えがあります。
住民説明会に限らず、様々な方法で、声を聞く取り組みを始めるよう検討する事を要望して次の質問に移ります。
清掃センターの運用目標について
住民説明会において茨城県は、これから整備する新産業廃物最終処分場を「エコフロンティアかさまの後継施設」と説明しています。
エコフロンティアかさまには、中間処理施設である溶融処理施設が整備されており、笠間市内の一般廃棄物と、県内及び一部県外の産業廃棄物を受け入れています。
また、県は、「新処分場の中間処理施設については、市から要望があれば建設を検討する」と述べています。
日立市の清掃センターにも溶融施設がありますが、新処分場が建設されるとなれば、清掃センターはどうなってしまうのか、市民は不安を抱いています。
そこでお伺いします。市内の一般廃棄物を受け入れている清掃センターについて、後期基本計画でうたった目標に従い、今後も運用していくことに変わりはないのか、お伺いします。
(小川市長の答弁)
お答えいたします。
議員御案内の「エコフロンティアかさま」におきましては、産業廃棄物最終処分場としての機能に加えて、廃棄物を焼却溶融する中間処理施設を併設し、市内の家庭などから排出される一般廃棄物の受入れも行っております。
県によりますと、当時、笠間市から市民が排出する一般廃棄物を焼却できる施設の建設を求められ、これを受けて、産業廃棄物と一般廃棄物の両方を処理できる施設を整備したものであるとのことでございます。
また、県は、受入要請に当たり、「環境都市宣言をしている日立市にふさわしいモデル的な施設整備を行うことにより、持続可能な循環型社会の形成を推進する」としていることから、今後、県から具体的な御提案があるものと考えております。
一方、本市の清掃センターにつきましては、一般廃棄物の焼却と焼却灰の溶融ができる施設を整備して平成13年3月に供用開始し、これまで市内の家庭などから排出される一般廃棄物を受け入れてきたところでございます。
しかし、経年等による施設の老朽化が進んだことから、平成30年3月に「日立市清掃センター廃棄物処理施設長寿命化総合計画」を策定し、今議会で契約議案として提案させていただいております基幹的設備改良工事などを実施しながら、引き続き、現在の施設を運用していくこととしております。
以上でございます。
(要望)
「改良工事などを実施しながら、引き続き、現在の施設を運用していく」との答弁がありました。日立市環境都市宣言の冒頭には「美しい自然を次の世代に引き継ぎます。」「今日(こんにち)の環境問題は、身近なごみの問題から地球規模での温暖化など多岐、多様化しています。とあり、項目として「1 私たちは、山・川・海など恵み多い自然と共に生きられるよう、この自然環境をまもり、育てていきます。」と宣言しています。
この内容に則しながら、「日立市清掃センター」の引き続きの運用をお願いします。
候補地周辺の交通量の実態について
茨城県は、産廃運搬車の搬入ルートとして、国道6号、梅林通り、県道37号線を想定していると述べています。国道6号の日常的な渋滞のさらなる悪化と生活道路の危険性が懸念されます。
そこでお伺いします。国道6号油縄子交差点から入る「梅林通り」と、周辺の国道6号の交通量について、お伺いします。
(小川市長の答弁)
お答えいたします。
候補地周辺の交通量の実態について、でございます。
現時点で県が搬入ルートと想定している梅林通りの交通量につきましては、平成26年5月に市が調査したデータによりますと、午前7時から午後7時までの12時間で約3,600台となっております。
また、梅林通り入口となる油縄子交差点付近の国道6号における交通量につきましては、平成27年度に国土交通省が行った全国道路・街路交通情勢調査、いわゆる交通センサスによりますと、同様の12時間調査で約21,600台となっております。
住民等の御意見の中には、交通渋滞への影響を懸念する声が多く寄せられておりますことから、実効性のある対策が求められているものと認識しております。
県からは、市議会特別委員会や住民説明会での意見を踏まえ、県庁内に「新産業廃棄物最終処分場整備に伴う交通問題対策会議」を設置し、今後、想定している搬入ルートの交通量調査を実施して交通安全対策や渋滞対策を検討する考えであると伺っており、道路・交通安全対策が一番の課題であることが改めて認識されたものと受け止めております。
県の交通問題対策会議などの動向につきましては、引き続き重大な関心を持って注視してまいりますととともに、県に対しては、多くの住民等が納得できる対策案の提示を求めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
(要望)
県は「道路・交通安全対策が一番の課題と認識した」とのことです。しかし、市民からは「道路、交通安全対策」だけが不安なのでは決してありません。
現在、日本共産党日立市議団はアンケートを実施しており、中間報告ですが8月31日時点で309通の回答が寄せられています。
不安な項目を選ぶ設問では、「道路交通」だけでなく「生活の安全」、「地域の自然環境」、「騒音」、「地下水(飲み水)の水質汚染」、「放射性廃棄物」など、偏りなく全般に渡っており、「道路交通への不安」が突出しているわけではありません。
アンケートでは「全て不安材料です」、「全ての件に反対です。絶対安全だという保障はない」、「せっかくのすばらしい自然環境を汚染しないでほしい。人体や作物に悪化を及ぼすのではないかと心配になるので反対です」という声が寄せられています。
また茨城県へは「既に処分場は諏訪の地に有りきの説明になっているように思われて不信感を抱いております」、「そもそも団地の密集地に処分場を計画すること自体、住民を無視した、計画者側の勝手な都合で有り、反対する」、「最終候補地に決定してからの地域住民説明会にとても憤りを感じます」、「本件に関して物事を決めるプロセスが間違っています。」という、「県のプロセスが問題だ」という声があります。
また、「候補地にあがっている事を市民がどれだけ知っていたのか!決めてから説明会をやるとは順序が逆だ」という、県の「新産業廃棄物最終処分場整備のあり方検討委員会」が非公開で会議を進めてきたことへの怒りの声があります。
市へは「どうか子どもたちに安全・安心して過ごせる自然豊かな場所を与えてください。壊すようなことを大人の理由で行わないでください。処理場を作るお金を使うより、処分できる方法を持付け対応する税金の使い方をして下さい」、「ゴミを減らす対策をお願いします。日立市として、受け入れないで下さい。」といった声が寄せられています。
「産業廃棄物最終処分場を、日立市諏訪町に作る事に賛成ですか反対ですか?」の設問には、建設賛成が5%、どちらとも言えないが9%、建設反対が86%と多くの方が「反対」と回答しています。
「不安な項目が多岐にわたる事」、「県のプロセスに納得していない事」、そして「受け入れないでほしい」という反対の声を受け、県に対して「受諾しない」と回答する事、建設要請を断る事を要望しまして、私からの一般質問を終わりにします。御答弁ありがとうございました。