3月7日 一般質問の質問と答弁をご紹介します。
1.県産業廃棄物最終処分場の整備について
茨城県は2月、新設道路について、長さ4km、幅員9m、概算事業費約120億円という計画概要を示しましたが、本日付け茨城新聞に「日立処分場 供用1年遅れ 搬入路見直しで」の見出しの記事が掲載されました。なぜ遅れたのか疑問であり、市民が納得のいく対策や説明を示すべきです。県と市が取り交わした確認書に、県は「地域住民に真摯に向き合い、丁寧かつ誠実に対応するものとする」とありますが、それに合致しないようならば、市から県へ厳しい態度をもって説明を求めるべきです。
産廃処分場の基本計画策定から1年が経過し、住民、市民の生活に関連する問題について、以下質問をします。
(1)処分場西側からの雨水
今から1年前となる2022年2月6日の第4回基本計画策定委員会では処分場西側からの雨水について「新設道路の側溝で安全に排水ができるかどうかまでをお答えするのはまだ難しい」、「道路設計を実施する中でしっかりと対応していきたいと考えている」と発言がありました。
埋立地に計画されている太平田鉱山跡地は、西と、南と東の3方向から水が流れ込む沢になっています。基本計画では、南と東の2方向から流れ込んだ雨水は防災調整池で受け止めますが、西側から流れ込んだ水は防災調整池にはいかず、道路の側溝で受け鮎川に流すとしています。
しかし、道路の側溝で受けた雨水が鮎川へ向かった先には、直径約2mのトンネルがあり、このトンネルが雨水を堰き止めてしまうのではないかと懸念があります。西側からの雨水の量が、鮎川の流下能力を上回らないことが説明されているのか、また、鮎川は一般河川部分もあり市の管理でもあるので、このことで県と協議したのかなどを伺います。
(2)大型トラックの通行
工事車両など大型トラックが通行するルートについて、「梅林通りなど生活道路を通すのか?何台通すのか?」という疑問が残ったままとなっています。また、埋め立て予定地は、地盤線が急勾配になっているため、基本計画では、「現地にある石灰岩の採掘ずりなどを使って盛り土を行い、浸出水の自然流下を促せる標高を確保しつつ、最終処分場に係る技術運用通知等に基づいた勾配を成形していく」と説明がありました。今ある穴を埋めることから処分場の工事を始めるとしています。しかし、現地にある採掘ずりだけで足りるのか、外から土砂を運んでくるのではないか?と懸念があります。
工事に関する大型トラックの通行について、県から説明はあったのでしょうか?今でさえ「通学路になっている既存の生活道路に工事車両を通すのか?」と声がありますが、1日に何台のトラックを通すのか、事前の説明もなく、トラックを通過させるようなことになったら、住民や市民への説明責任を果たしているとはいえません。
大型トラックの通行に関して、県から説明を受けているのか、説明がまだの場合は説明を求めるべきと考えますが市の認識を伺います。
御答弁をよろしくお願いします。
【生活環境部長】
私からは、質問の大きな1項目め、「県産業廃棄物最終処分場の整備について」の御質問に順次お答えいたします。
初めに、(1)処分場西側からの雨水、でございます。茨城県が本市の諏訪町地内に計画している産業廃棄物最終処分場の整備につきましては、県において、昨年4月に基本計画を策定し、現在、基本設計を進めているところでございます。基本計画には、雨水の集排水計画として、埋立地周辺の雨水排水の処理方針が示されており、その中で処分場敷地外の西側流域の雨水については、新設道路に整備する排水施設から鮎川へ放流することが記載されております。また、基本計画の策定に先立ち、県が実施した市民報告会において、「新設道路の排水は鮎川の流下能力に見合った放流量とする」ことを説明しております。
一方、河川への放流に係る協議につきましては、現在、県において新設道路の測量や地質調査、設計を進めているため、実施する段階には至っておりませんが、今後の協議に当たりましては、安全な排水となるよう、しっかり確認をしてまいります。
次に、(2)大型トラックの通行、でございます。新処分場の建設工事を行う際、大型トラックなどの工事車両が梅林通り及び県道37号を通行することにつきましては、令和2年度から県が実施してきたフォローアップ説明会や市民報告会などにおいて、周辺地域の安全確保の徹底及び生活環境に配慮した工事計画とすることも含めて、説明した経過がございます。
さらに県では、沿道住民等からの要望を踏まえ、昨年10月、地元コミュニティ主催の集会に出席し、本市の職員も同席する中で、工事車両対策に関する説明を行ったところでございます。その際、工事に使用する部材の種類や数量、工事車両台数、工程などについては、新処分場の実施設計を行う中で明らかになるとの見通しが県から示されたほか、基本計画に基づき、周辺地域の安全確保の徹底に加え、埋立地の造成時に鉱山内の土砂を利用することで工事車両台数を減らし、既存交通への影響を低減する交通安全対策を図るなど、周辺の生活環境に配慮した工事計画とすることが説明されております。
本市といたしましては、今後も引き続き、県及び事業主体である茨城県環境保全事業団と緊密に連携し、住民への丁寧な説明や広報を行いながら、安全性を最優先した施設整備が円滑に推進するよう、しっかりと対応してまいります。
ご答弁にあった「河川への放流に係る協議については、実施できる段階に至ってないが、今後の協議にあたって、安全な排水となるよう確認する」という点についてです。
日立市民の方が自ら作成した「洪水浸水想定区域図」が2月3日に届けられました。水防法が2021年7月に改正され「周辺に住宅等の防護対象のあるものについて(区域の)指定対象に追加し、水害リスク情報の空白地帯の解消を目指す」ことになったものの、県がいまだに鮎川、桜川などの洪水浸水想定区域図を作らないためだと考えます。
作成した結果「唐津沢自身が、洪水浸水想定区域であること」、「唐津沢流域の面積は比較的小さいので、短期間、安価に区域図の策定ができること」、「唐津沢が防災ダムの機能を現在は果たしているが、産廃処分場建設によって雨量を制御できることが不可能になること」を指摘しています。
したがって、県はもとより、本市も、雨量を制御できるのかできないのか検証するなど真摯に受け止めると当時に、県に対しては洪水浸水想定区域図を作るよう、引き続き本市から要望を伝えていくべきです。
大型トラックの通行について、太平田鉱山跡地に現存する穴の盛り土を行う作業を含む「埋立地の造成」について、「鉱山内の土砂を利用することで工事車両台数を減らし、既存交通への影響を低減する」と説明されたとご答弁がありました。はたして「既存交通への影響を低減する」ということで良いのでしょうか?
既存交通の実態について、2020年8月~9月に県自身が行った「交通量調査」の結果では、「梅林通りの諏訪小学校下の交差点」で大型車両が12時間で268台通る結果でした。したがって1時間当たり22台数、2分40秒に1台の大型車両が通る現状です。朝の登校時間帯は規制することができたとしても、下校時間は児童によってばらつくので、児童が少人数で下校しているところを大型車両が通ることになります。過去にマーブルホールで行われた住民説明会で「通学路を通しての工事は認められない」と学校関係者と思わる方らから発言がありました。下校時間の大型車両の台数をさらに増やして良いのでしょうか?
近隣の保育園では、今でも大型車両が保育園の近くを通ると保育士の声が聞こえなくなります。午前中の散歩は大切な日課であり、諏訪町のいろいろな所に出かけています。散歩のコースに諏訪梅林も含まれていますが、大型車両が通行するたびに、飛び石で子どもが傷つくことがないか、排気ガスで健康を害したりすることがないか心配しています。
「これ以上、大型車両が増えたら梅林道路を歩けない」――それが3年前から届けられ続けている声であり、車両が増えたら散歩に行ける範囲が少なくなってしまいます。
工事車両に加えて埋立地造成の大型車両の通行によって、小学生の登下校や、保育環境を侵害させてよいのでしょうか?
なし崩し的に許してはなりません。本市は、確認書の「地域住民に真摯に向き合い、丁寧かつ誠実に対応するものとする」に合致しないようならば、処分場の受諾を撤回することを求めて、次の質問に移ります。
2.市民が安心して歩くことができる街灯の設置について
日本共産党日立市議団は昨年末、日立市民の皆さんへ「日立市のくらしと市政のアンケート」を実施したところ、街灯設置について以下のような声が寄せられました。
「まっ暗で治安が悪そうなところが石名坂、南高野エリアにたくさんあります」、会瀬町の方からは「日立市の防犯街灯の設置をお願いします」、東多賀町の方からは「裏道の街灯を10mごとにつけてほしい。暗すぎてこわい‼」などです。
また、「新しい街灯の設置を要望したいがどのようにしたらよいのか?」と市民の方から問い合わせがありました。要望を伝えるための大まかな方法をその方へお伝えしましたが、どのような話をすれば設置に至るか、また設置に関する今後の展開など、以下質問をします。
(1)新しい街灯が設置されるまでのプロセス
防犯目的である街灯(すなわち防犯灯)を設置したいと市民が考えた場合、その声や要望はどのようなプロセスをたどるのか、どのような基準で新しい防犯灯が設置に至るのかを伺います。
(2)街灯設置の推移と今後
要望を受けたのち基準を満たしていれば設置を進めてきたと思います。おおよそ、年間何本程度新しく設置してきたか、また、今後の展開について伺います。
御答弁をよろしくお願いします。
【総務部長】
私からは、質問の大きな2項目め、「市民が安心して歩くことができる街灯の設置について」の御質問に、順次お答えいたします。
初めに、(1)の「新しい街灯が設置されるまでのプロセス」についてでございます。
本市の防犯灯につきましては、所有者である町内会等の負担軽減を図るため、令和3年10月から、市が寄附を受けまして、維持管理を行っているところでございます。
本年1月末時点では、1万1,289灯の寄附を受けておりまして、受入れは、おおむね完了したものと考えておりますが、現在も寄附の相談があった際には、随時、受け入れているところでございます。
御質問の、設置までのプロセスとしましては、町内会等から地域コミュニティを通して、市に要望をいただき、設置基準を満たしているものにつきまして、市が適切な場所に設置をすることとしております。
その設置基準につきましては、「夜間不特定多数の市民が通行する道路を照らすこと」、「10ワット以下のLEDタイプであること」、「ほかの街灯から30メートル以上離れていること」、「周辺住民から設置の同意・承諾が得られること」等でございます。
次に、(2)の「街灯設置の推移と今後」についてでございます。
これまで、市が新規に設置した防犯灯につきましては、令和3年度が49灯、令和4年度が57灯、合計で106灯でございます。
今後も、防犯灯の適切な設置と、適正な維持管理に努めることによりまして、市民の皆様が、安全で安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。 以上でございます。
「1年間で約50本程度」新規の保安灯を設置しているとご答弁がありました。
「一本でも通りから中に入ると暗い」という声もあり、今後も、ある程度の新規設置が必要と見込まれます。
ですので、市は地域コミュニティ連携しながら、積極的に市民の声を吸い上げるような仕組みを作るなど工夫することを検討するよう要望して、次の質問に移ります。
3.安全に利用できる南部図書館について
コロナ禍が続く中、市内図書館の利用者数も回復傾向にあります。気軽に通えて利用できる図書館の施設を維持していくための質問をします。
先日、普段から南部図書館を利用している市民の方から「地盤が沈下しているのでは?」と話があり、外回りを一周見て回ったところ、「地盤が下がっているのでは?」と思えるような跡が壁の地面付近に見られました。また、正面玄関の屋根を支える柱がまがっているのでは?という不安の声もありました。
図書館を不安なく利用するために地盤沈下の状況を伺います。また、どのような対応を行っているのかを伺います。
御答弁をよろしくお願いします。
【教育部長】
私からは、質問の大きな3項目め、「安全に利用できる南部図書館について」の御質問にお答えいたします。
南部図書館は、平成25年4月に「くつろぎ、ふれあい、楽しむ図書館」をコンセプトに開館し、平成30年には来場者100万人を達成し、多くの市民のみなさまに御利用をいただいております。
御質問の地盤沈下につきましては、建屋は建設時の基礎工事において、岩盤まで杭打ちをしているため強固に安定している一方、周囲の地盤が沈下していることで、建屋との高低差が生じております。
そのため、利用者の安全を確保するために、これまで出入口付近のスロープの設置や、建物周りの舗装の打ちかえなどの対策を講じてまいりました。
今年度は、来館者入口脇駐車場の膜屋根支柱の傾きに対する補強工事等を実施したところでございます。
また、地盤の沈下の状況につきましては、平成26年9月から継続して3か月に一度計測をして把握しております。
近年、沈下量は横ばい傾向で、1か月平均で1mmから3mm程緩やかに沈下している状況にあります。
恒久的な対策については、地盤沈下の収束を見極めた上で実施したいと考えております。それまでは、定期的な沈下の計測を継続しつつ、地盤沈下によって生じる不具合箇所への対策に万全を期し、利用者が安全に安心して来館できる環境を維持してまいります。
以上でございます。
建屋は岩盤まで杭打ちをしているため強固に安定している点や、利用者が安全に、安心して来館できる環境を維持するとご答弁がありました。
身近な生活圏に図書館があることが大切で、とりわけ、子どもや高齢者、障害のある人にとっては切実です。
日本の図書館の数について、人口比で見ますと、主要国首脳会議参加のG7(ジーセブン)の各国は10万人あたり平均で5.5館ですが、日本は2.5館と最低となっています。
日立市は4つの図書館があり、日本の平均と同じかやや下回るので、各交流センターの図書室や移動図書館「たかすず号」などで補っていますが、身近な生活圏域に図書館がある必要があります。
南部図書館はすでに多くの方々が利用していますので、適切な維持、管理を引き続きお願いして、私からの一般質問を終わりにします。御答弁ありがとうございました。