12月議会 一般質問を行いました

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12月6日 一般質問の質問と答弁をご紹介します。(未定稿)

 日本共産党の千葉達夫です。発言通告に従い質問をします。ご答弁をよろしくお願いします。

1 介護施設の新型コロナ感染状況と賃金保障について

 ケア労働者に対する賃上げが今年2月から始まりましたが、介護職員へは月9000円の引き上げにとどまります。「介護職員や保育士の平均給与は全産業平均より『月10万円低い』と言われ、「月5回の夜勤手当を含め、手取りで22万~23万円ほど。コロナ禍でもテレワークできず、医療や介護など現場で、命や暮らしを守る職種であるにもかかわらず、賃金が低い」という実態が各地の介護職場にあります。

 国民春闘共闘・全労連は今年の4月14日、厚生労働省で記者会見し、岸田政権によるケア労働者の賃上げである処遇改善事業を踏まえた春闘の回答状況を発表しました。賃上げ回答があったのは医療・介護・福祉労働者の3つの単産891職場のうち43.3%にとどまることを明らかにしました。

 介護・医療・福祉・保育など、人間の命を守るケア労働を支える政治へ転換することが国にも、自治体にも必要です。そこで、介護施設の状況と、そこで働く人の賃金補償について質問をします。

(1)事業所における第7波の新型コロナ感染の状況

 第7波と言われる今年の7月~9月の夏ごろ、コロナ感染により休館するなど事業が停止したデイサービスセンター等の事業所がどの程度あるのかを伺います。

(2)休館時の職員の賃金保障

 介護利用者や職員が感染し、事業所などが休館・閉鎖となった場合、働いている職員は自宅待機など仕事を休まなければならなくなります。国の「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金」がありましたが、「補償などない。有給休暇を使った」という声が聞かれました。

 そこで、職員が休業した場合の休業中の賃金保障の制度について、また、賃金の保障に関して市に相談や苦情など問い合わせがあったかを伺います。

(3)介護職員の賃上げ

 政府は、2022年2月から9月までの間、介護・障害福祉職員、看護職員、保育士・幼稚園教諭・放課後児童支援員などを対象に、収入の1〜3%程度の約月9,000円の賃上げを実施することとなりました。2月~9月は国の交付金として支給されましたが、今年10月以降は介護報酬に組み込まれることとなり、実際に月額9,000円の賃上げが続いているのか、続かなくなってしまった場合、賃下げになってしまうという問題があります。介護職員がなかなか集まらないというミスマッチが続く中で、賃下げはあってはならないと考えます。

 そこで、今年の2月から9月に賃上げを実施した状況と、10月以降、市内の介護施設で介護報酬の加算を届け出た状況を伺います。

 御答弁を、よろしくお願いします。

【保健福祉部長】

 千葉議員の御質問にお答えいたします。

 私からは、大きな1項目め、「介護施設の新型コロナ感染状況と賃金保障について」3点の御質問に、順次お答えいたします。

 はじめに、(1)の「事業所における第7波の新型コロナ感染の状況」についてでございます。

 本市におきましては、市内の介護サービス事業所等における新型コロナウイルスの感染状況を把握するため、職員や利用者のかたなどに陽性者が出た際には、その人数や結果判明までの経過、対応状況などについて、御報告をいただくよう事業所等へお願いしております。

 その報告内容に基づきますと、ご質問の本年7月から9月までの3か月の間に、1日でも休館をした市内のデイサービスセンターなどの介護サービス事業所につきましては、延べ17か所でございます。

 次に、(2)の「休館時の職員の賃金保障」についてでございます。

 介護サービス事業所等におきましても、一般の他の事業所と同様に、労働基準法上、事業主の都合により職員を休業させた場合には、事業主は職員に対し、平均賃金の6割以上の休業手当を支払うことになっております。また、新型コロナウイルス感染症や、そのまん延防止措置の影響により休業させられた職員のうち、休業手当の支給を受けることができなかったかたは、国の制度である新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金を直接申請することができることとなっております。

 なお、議員おたずねの新型コロナの影響による休業中の賃金保障に関する具体的な御相談や苦情等は、これまでのところ寄せられてはおりません。

 次に、(3)の「介護職員の賃上げ」についてでございます。

 国がコロナ禍の経済対策として掲げた介護職員の収入の3パーセント程度、月額にしますと平均9,000円相当の引上げを目的に、 本年2月から実施されておりました介護職員処遇改善支援補助金につきまして、その実施主体である茨城県に確認したところ、市町村ごとにデータは掴んでいないものの、県全体では84.7パーセントの事業所から申請がございました。

 また、国におきましては、この介護職員の処遇改善について、恒久的な措置とするため、本年9月までの補助金による支給に代えまして、10月から介護報酬を改定し、介護職員等ベースアップ等支援加算を創設しております。

 市内の事業所における、この加算の取得状況でございますが、対象となる212の事業所のうち176事業所、率にして83パーセントの事業所から届出がなされており、おおむね、9月までの県補助金による賃上げの取組が、介護報酬改定後におきましても引き続き行われているものと認識しております。

 以上でございます。

(千葉)

 介護職員の賃上げについて、国の補正予算で2月~9月の8カ月分は、約1000億円全て、国庫負担で措置されていました。しかし、10月以降は介護報酬に付け替えるように仕組みを変更した結果、国負担は150億円に減ります。介護報酬増額と底上げは大切ですが、それが利用者の負担増とならないよう、たとえば茨城県は、「令和4年度 国の施策及び予算に関する提案・要望」の中で「被保険者や地方の負担増につながらないよう十分な財政措置」をと国に要望しています。

 本市は、介護サービスを必要としている市民が受けられているのか、また、介護職場で賃上げが行われているか状況把握を継続するよう要望し、次の質問に移ります。

2 安心して飲める水道について

 9月の茨城新聞に「水源を十王川にシフト 久慈川、海水遡上で」の見出しで主要な水源を久慈川から十王川にシフトする方針を決めたことが報道されました。「工事完了後の2034年ごろ、十王水系の市内配水量の構成比率は現在の2割から5割まで高まる。さらに58年ごろには8割となる見通し」と記事が載り、市民からは「十王川系の水をどう日常的に検査しているのか知りたい」などの声が寄せられました。

(1)十王川系の検査実施方法

 現在、飲用水などとして利用している十王川系の水質は、基準はクリアしているものと考えますが、どのように検査を実施し、どのような結果が出ているのかを伺います。

(2)十王川系へシフトしたプロセス

 茨城新聞の報道では、「十王浄水場には浄水ラインが2本あるが、現在稼働しているのは1本のみ。今後、残る1本も耐震化や受変電設備の設置などを進めて使えるようにし、浄水能力を現在の1日約1万6千立方メートルから倍増させる。整備期間は2028年度までで、事業費は30億円程度と想定する」記載がありました。事業費の試算などはもちろん今後と考えますが、施設の増強は必要と考えます。一方で利用料金が値上げになってしまうと、コロナ禍や物価高騰の影響が今後も続くと見込まれるなか、暮らしていけない状況になってしまいます。利用料金の値上げにならない措置が必要と考えますが、今回、十王川系にシフトするに至ったプロセス、例えば、様々なプランを比較検討した結果と今後の水道料金への影響を伺います。

(3)上下水道フェアなど広報の取組

 2019年、森山浄水場で「上下水道フェア2019」が開催され、浄水施設のことを市民が身近に感じる機会がありました。十王川の水系でもこのような広報が大切と考えますが、安全であることの広報をどのように考えているのかを伺います。

 御答弁を、よろしくお願いします。

【上下水道部長】

 私からは、質問の大きな2項目め、「安心して飲める水道について」の御質問に順次お答えします。

 初めに、(1)十王川系の検査実施方法についてでございます。

 本市では、水道法に基づき、検査地点や検査項目などを定めた「水質検査計画」を毎年策定し、久慈川系、十王川系ともに計画的に検査を実施しております。

 検査地点としては、各浄水場において、水源である取水口、浄水を行う前の浄水場入口、浄水後である浄水場出口のほか、公園や公共施設など、市内16か所の蛇口から採水しております。

 このうち蛇口の水質検査におきましては、水道法で定められた大腸菌、鉛、水銀など51項目のほか、ニッケル、残留塩素など、より質の高い水道水を提供するために本市独自に設けた27項目を加えた計78項目について、検査を実施しております。

 議員ご質問の十王川系の水質につきましても、これらの基準を満たしているものでございますが、十王川流域で大雨が降った場合など、万が一、川の水の濁度が基準を超えた場合には、取水を一時的に停止し、水質に影響がないよう対応することとしています。

 私ども、水道事業者にとりまして、基準に基づいた水道水の水質を常時確保することは、最も基本的かつ重要な責務でございます。

 今後も、市民の皆様に安全な水道水を供給するため、水質検査計画に定めた厳しい基準に基づき、水質検査を徹底してまいります。

 次に、(2)十王川系へシフトしたプロセスについてでございます。

 本市では、将来にわたって水道水を安定的に供給していくため、久慈川からの取水における大きな課題である渇水や海水遡上への対応をはじめ、給水人口の予測や水道施設の老朽化対策なども勘案し、十王浄水場に2系列目の浄水設備を整備することによる機能強化と森山浄水場のダウンサイジング、長寿命化を柱とする安定水源確保策をまとめたところでございます。

 安定水源確保策の検討に当たりましては、久慈川取水口を上流に移設する案や、森山浄水場を廃止して茨城県の用水供給事業から受水する案などについても、事業の実現性や効果、将来の財政負担、危機管理等、様々な視点から比較検討を行ったところでございます。

 このうち、久慈川取水口を上流に移設する案につきましては、河川管理者である国との協議、久慈川の水利権者との調整、取水口移設に係る用地確保等のほか、取水口から浄水場までの導水管の整備費用が多額となるなど課題が多く、実現性が低いものでございました。

 また、茨城県の用水供給事業から受水する案につきましては、県から水を購入する費用及び県と市の施設を接続するための整備費用が、森山浄水場をダウンサイジング・長寿命化して使用する場合の費用を上回り、水道料金の大幅な値上げに繋がることが見込まれたほか、危機管理対応の面で、本市の主体性が損なわれることなども懸念されたところでございます。

 一方で、十王浄水場の機能強化等による安定水源確保策につきましては、他の案と比較し、施設整備費用の軽減と平準化が可能であり、将来の財政負担が抑えられることに加え、森山浄水場と十王浄水場とで水を相互融通できる体制を整えることにより、危機管理面でも有利であると判断したものでございます。

 なお、今後の水道料金への影響についてでございますが、安定した水道サービス提供を継続するためには、安定水源確保策に係る施設整備のほか、施設の老朽化対策や耐震化などの事業を着実に推進する必要がありますことから、経営の効率化に取り組みながら、公営企業として独立採算の原則のもと、必要に応じ、水道料金の見直しを検討してまいりたいと考えております。

 次に、(3)上下水道フェアなど広報の取組についてでございます。

 広報の取組としての上下水道フェアは、近年では、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、中止といたしましたが、市民との交流を図りながら、本市の上下水道事業に対する理解を深めていただく貴重な機会であると捉えております。そのため、代替えの事業として、今年度も、本庁舎大屋根広場において、森山浄水場で栽培したラベンダーの花束配布に合わせ、上下水道事業のPRを実施したところでございます。

 このほか、平成30年度から年2回、各世帯に配布している広報紙「企業局だより」や、企業局のホームページなどにおいても、水質管理をはじめとする安全な水道水を供給するための取組をお知らせしているところでございます。

 今後も、市民の皆様に、安心して本市の水道を使用いただけるよう、様々な手段を活用しながら、安全な水道水の広報に努めてまいりたいと考えております。

(千葉)

 十王川系へシフトしたプロセスについて様々な比較検討をした経緯をご答弁頂きました。

特に、県から購入する場合と比較し、費用面や危機管理対応について比較検討したことによって、本市が主体的に水道事業を行う利点がより浮き彫りになったと考えます。

 「命の水」を守るため、水質を自治体の責任で保障する、という事業を本市が継続するようお願いして、次の質問に移ります。

3 再生資源の回収について

 再生資源の回収について、日常的な身近な課題として、以下2点を伺います。

(1)自治会の当番制

 再生資源の回収の朝、立札を立てて袋を倉庫から出すという用意と、業者回収後の午前10時頃に立札や袋をしまうという片付けを、自治会の当番制で行っているところが多くあります。地域からは「足腰が悪く当番が大変。市で何とかできないか」という訴えが寄せられています。自治会によっては、例えばシルバー人材センターにこの「立札・袋の用意と片付け」を、自治会費で代金を支払って依頼しているところも見受けられます。市の事業として、何らかの形で自治会の当番制の負担軽減の措置を取るべきと考えますが、本市のご所見を伺います。

(2)販売店との連携

 大手スーパーや大手家電量販店では、資源回収を行うなどしており、日常的に資源リサイクルを考え行動することが大切です。カン、ペットボトルやインクカードリッジの回収などを大手だけでなく、個人経営などの小規模販売店が積極的に実行できるよう、市が働きかけてはどうかと考えます。

 身近に、小型家電や古着などを回収できる場所があれば、リサイクルへの意識の醸成にもつながります。

 そこで市内販売店などとのリサイクル事業の連携について、現状や考え方を伺います。

 御答弁を、よろしくお願いします。

【生活環境部長】

 再生資源の回収に当たり、本市においては、昭和59年度からコミュニティとの連携により、地域住民が当番制で分別指導に当たる完全分別方式を採り入れ、さらに平成28年度からは、地域住民の負担軽減を図るため分別指導を廃止し、現在は、回収日における立札や回収袋の用意と片付けの役割を地域住民に行っていただいている。

 その役割を当番制で行っている自治会等も多く、高齢などの理由から、当番制による立札や回収袋の用意と片付けを負担に感じているとの御意見が、年に数件程度寄せられているところである。

 そのような状況を踏まえ、本市としては、誰もが負担なく再生資源を出せる環境を整えていく必要があると認識しており、今年度から取り組んでいるごみ等収集システム再構築事業の中で、市民のライフスタイルや各集積所の現状を把握し、コミュニティとの意見交換も行いながら、負担なく再生資源を出すことのできる環境づくりに向けて、検討を進めていく。

 次に、「(2)販売店との連携」について、でございます。

 本市におきましては、循環型社会の構築に向けたライフスタイルの確立を図るため、環境にやさしい商品の販売を始め、ごみ減量化やリサイクル活動に積極的に取り組む事業者を認定する「日立市エコ・ショップ制度」を平成9年2月から開始し、現在、大手スーパーやドラッグストアーなど 34店舗を認定しております。

 エコ・ショップにおきましては、各店舗がそれぞれの形で再生資源の回収などに取り組むとともに、本市の取組である小型家電やペットボトルなどの拠点回収にも御協力をいただいているところでございます。また、大手家電量販店におきましても、独自の取組として、家電製品やリサイクル可能な物品の回収が行われており、市内各所において、多様な形で再生資源を回収する環境が提供されているものと捉えております。

 令和3年度のエコ・ショップにおける再生資源回収量は、市全体の約54%を占めており、各学区の集積所における回収量を上回る状況となっております。

 このような状況を踏まえますと、議員御提案の、個人経営などの小規模な店舗において、日常的に再生資源を排出できる環境の整備につきましては、市民生活における利便性の向上に加え、資源化を促進する効果も期待できますことから、有効な取組であると捉えたところでございます。

 したがいまして、今後は、小規模な店舗などに対し、これまで以上に積極的にエコ・ショップ制度への参加を働きかけ、再生資源の排出機会の拡大を図ることにより、市民の資源化意識の更なる向上につなげてまいりたいと考えております。

以上でございます。

(千葉)

 自治会の当番制といった市民・住民の身近な問題に加え、様々な課題があるため「ごみ等収集システム再構築事業」が取り組まれています。課題が多岐にわたるので、課題ごとに段階的に解決へ進むものとも推測しますので、市民生活の実態や声を踏まえた改善をお願いします。

 販売店との連携について、店舗において回収される再生資源量は、学区回収量を上回っているとご答弁がありました。物を作り売った側は、製品の素材や製造の仕組みに詳しい専門家であるからこそ、効率的に資源化できる技術や能力があります。

 そのような販売店と市民が連携して「燃やして埋める」という廃棄物処理を減らし、再資源化を増やすためにも、小規模販売店への働きかけの継続をお願いして、次の質問に移ります。

4 ゼロカーボンシティひたちに向けた取組について

 今年の3月に本市が表明した「ゼロカーボンシティひたち」には「地球温暖化の進行による影響と考えられる気候変動や自然災害など、様々な問題が顕在化して」おり「市民、企業の皆様とともに総力を挙げて『ゼロカーボンシティ』の実現を目指してまいります」と宣言されています。県内でも北茨城市などいくつかの自治体で、このような宣言が始まっております。今こそ宣言の実行に踏み出す時です。

 国連の人間環境会議などに参加された、大阪市立大学名誉教授の宮本憲一氏は、「再エネ開発を遅らせたら2030年に46%のCO2削減は不可能」だが、「各自治体が力を合わせて再エネを進めれば、全国、全世界的課題であっても解決できる力がある」「地方自治にこそ、地球環境を守る力がある」と述べています。そこで本市のCO2削減に向けた取り組みについて質問をします。

(1)ひたちゼロカーボンシティビジョン

 ひたちゼロカーボンシティビジョンの素案の概要を拝見しました。市民、事業者、行政等が一丸となることを目的とするなど方向性が示されております。まず、日立市における今回のビジョンのポイントや特徴を伺います。

(2)再生可能エネルギー推進事業

 例えば長野県佐久市では、家屋の太陽光パネル設置への助成を進める中で、全国平均は20%の設置率を32%に引き上げています。自治体が市民、住民と一体となって、また支援をしながら推進することが求められます。そこで、再生可能エネルギー推進に向けた、本市の事業の実態と今後について伺います。

(3)CO2排出を減らすための事業者への支援

 日立市の特徴としてCO2排出の割合は「産業部門が68%」であり、全国44%よりも24ポイント産業部門の排出割合が多い状況となっています。産業部門がCO2削減に舵を切ることが大切と考えます。

 市では事業者向けにCO2削減に向けた事業への支援をしていますが、その現状や今後の支援について伺います。

 御答弁を、よろしくお願いします。

【生活環境部長】

 私からは、質問の大きな4項目め、「ゼロカーボンシティひたちに向けた取組について」のうち、(1)及び(2)の御質問に、順次、お答えいたします。

 初めに、(1)ひたちゼロカーボンシティビジョンについて、でございます。

 ひたちゼロカーボンシティビジョンにつきましては、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づいて策定を進めており、日立市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)の第3次計画に位置付けられるものでございます。

 第2次までの実行計画につきましては、日立市環境基本計画に包含される形で策定しておりましたが、ゼロカーボンシティひたちの実現を目指す姿を、より明確に示すため、脱炭素に特化した計画として切り分けるとともに、名称を「ひたちゼロカーボンシティビジョン」とし、今年度内の完成を目指しております。

 ビジョンの策定に当たりましては、庁内組織である「ゼロカーボンシティひたち推進本部会議」で検討を行うとともに、学識経験者や事業者等で構成する「ひたちゼロカーボン推進協議会」を本年6月に設置し、推進協議会でのご意見やご提案を反映しながら策定事務を進めているところでございます。

 御質問の、ビジョンのポイントといたしましては、市民の皆様へ分かりやすく、脱炭素につながる行動のヒントとなる情報も提供できるような計画とするため、専門的な内容をやさしい表現で伝える工夫をいたしております。

 また、「地球温暖化の進行によるリスク」や「節電の基礎知識」などの脱炭素に関するコラムを掲載するとともに、表紙に「目指すまちの姿」をイメージしたデザインを採り入れるなど、市民の皆様に手に取っていただけるようなビジョンとしたいと考えております。

 更に、2050年カーボンニュートラルに向けた中間目標として、2030年度までの市全体の二酸化炭素排出削減目標を設定するとともに、市独自の部門・分野別削減目標を設定することを検討しております。

 ビジョンの特徴といたしましては、大学が立地するひたちらしさを生かし、二酸化炭素排出削減に向けた取組の輪に大学を位置付けることで、学術研究の観点を加えたいと考えております。

 さらには、基本方針の中に、「CO2をへらす」と「工夫をふやす」の2つのキーワードを用いて、市民、事業者、大学、行政の各取組のテーマを設定するなど、取組の方向性をわかりやすく記載することにより、今後のゼロカーボンの推進につなげてまいりたいと考えております。

 次に、(2)再生可能エネルギー推進事業について、でございます。

 本市におきましては、平成21年度に一般家庭における太陽光発電システム導入に対する補助制度を創設して以来、再生可能エネルギー等の導入を継続して支援しております。

 現在、本市独自の補助制度といたしまして、太陽光発電システムには上限3万円、家庭用燃料電池エネファームには1基あたり10万円の補助を行っております。

 また、県の補助金を活用し、蓄電システム1基あたり5万円の補助も行っておりますが、近年、太陽光発電システムと連携する蓄電システムの補助申請件数が増加傾向でありますことから、県から配分される補助金の総額を上回る申請があった場合においても、継続して補助が行えるよう、柔軟に対応をしているところでございます。

 補助実績につきましては、令和3年度までの累計で、太陽光発電システムが平成21年度からの13年間で2,305件、蓄電システムが平成29年度からの5年間で341件、家庭用燃料電池エネファームが平成28年度からの6年間で478件となっております。

 発電時に二酸化炭素が発生しない再生可能エネルギーは、蓄電システムと連携することで自家消費効率が高まりますとともに、災害時にも活用ができる、環境にも家計にも優しい、クリーンなエネルギーであると捉えております。

 一方で、近年の再生可能エネルギーを含めた脱炭素を取り巻く状況につきましては、技術開発等の大きな変革が見られますことから、今後の支援策につきましては、その動向を注視しながら検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

【産業経済部長】

 私からは、質問の大きな4項目め、「ゼロカーボンシティひたちに向けた取組について」の、(3)「CO2排出を減らすための事業者への支援」の御質問にお答えいたします。

 議員御案内のとおり、ものづくりを基幹産業とする本市では、CO2排出量の68%を産業部門が占めており、特に、その半分を占める中小企業の脱炭素化の推進は、本市のカーボンニュートラルの実現に不可欠であると考え、中小企業における脱炭素化の取組を加速させることを目的に、産学官金連携による支援体制を構築すべく、本年5月に、中小企業脱炭素経営促進コンソーシアムを立ち上げたところでございます。

 本コンソーシアムは、全国的にも例を見ない先進的な取組と評されており、市内に立地する大手企業、中小企業、大学、金融機関や、関東経済産業局、関東地方環境事務所及び県などの参加団体から、様々な意見や協力をいただきながら、中小企業の脱炭素化に有効な支援施策と、具体的な支援スキームの検討を行っております。

 また、コンソーシアム立ち上げ前の本年4月には、中小企業向けの脱炭素化に関する相談窓口を日立地区産業支援センターに開設し、これまでに80件ほどの相談を受けております。

 更に、11月からは、中小企業の先進的な脱炭素化の取組への奨励金と合わせて、他の参考となるよう、これらの取組を紹介し、普及啓発を図る顕彰制度を新たに創設いたしました。

 カーボンニュートラルへの取組は、地球規模で急ピッチに進められており、中小企業の脱炭素化は、大手取引先からの指導や要請、金融機関による資金貸付時の判断基準に加えられたことなどを考慮しましても、選択余地のない経営課題になりつつあるものと認識しております。

 これらを踏まえ、気候変動リスク下の中小企業の事業継続に資する脱炭素化に向けた取組支援として、CO2排出量の見える化や、削減のためのコンサルティング、省エネルギー・再生可能エネルギー等の設備投資への補助など、中小企業脱炭素経営促進コンソーシアムを軸に施策を講じ、産業部門のCO2排出量の削減を促進いたしまして、ひたちゼロカーボンシティビジョンの実現を後押ししてまいりたいと考えております。

 私からは、以上でございます。

(千葉)

 蓄電システムの補助について、打ち切りにするのではく、継続して補助が行えるよう市が努力していることが分かりました。県の再エネ推進の補助事業がさらに広がるよう、本市の取組の努力や成果を県に伝え、働きかけなどするよう要望します。

 事業者への支援について、脱炭素化に関する相談を80件受けたとご答弁があり、関心が高いだけでなく「脱炭素化は避けて通れない」事が現れていると考えます。

 加えて、「脱炭素化の取り組み状況が、金融機関による資金貸付時の判断基準に加えられた」と答弁があり、金融業界では脱炭素が貸付の条件、または脱炭素事業が有望な投資先であると考えられます。

 よって、脱炭素化は、光熱費や燃料費削減などのコスト面だけでなく、売上げの拡大、融資獲得といった事業の成長につながります。

 ですので、そこに対する市の支援として、例えば中小企業や農林漁業を対象に、「脱炭素化や省エネ事業」向けの無利子・無担保・無保証による融資制度を作る事や、利子に対して助成するなどの支援策も検討することを要望します。

 すなわち、脱炭素社会の実現は、物が少ないことを耐え忍ぶ「耐乏」の社会でも「停滞」でもなく、持続可能な社会に道を開きます。

 そのために、本市が「地球環境を守る力と役割」を発揮するよう要望し、私の一般質問を終わりにします。御答弁、ありがとうございました。